ゴースト・アップルとは?
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出典:https://www.facebook.com/andrew.sietsema/posts/10219054664702191
ゴースト・アップルは冬季に気温が氷点下を下回る日が続くような寒い地域で見られる現象で、自然が生み出すりんごの形をした氷像です。
りんごが跡形もないにも関わらず透明なりんごの形が残っている様はまさにゴースト・アップル(幽霊りんご)の名前の通りです。
この写真は2019年の2月頃にミシガン州の果物農園で撮影されたもので、雪が積もったりんごの木を剪定する際に見つけたものということです。
非常に珍しい現象で生み出される条件も非常に限られていますが、冬季には気温-10℃を下回るというミシガン州ならではの現象です。
もしも見つけたら写真に必ず収めたいほどの珍しさで、SNSにあげればバズること間違いなし!
ゴースト・アップルのでき方
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出典:https://www.facebook.com/andrew.sietsema/posts/10219054664702191
ゴースト・アップルは以下の順番で形成されます。
- 寒い日に雨が降りりんごの表面に氷のコーティング(層)ができる
- りんごが液状化するほど腐る
- 氷の層の穴から液状化したりんごが流れ落ちて氷だけ残る
でき方だけ見たら、”そうなんだ”で終わってしまうと思いますが、実はこの条件が揃うのは奇跡と言っても過言ではないほど珍しい現象が折り重なってできています。
それではどんな条件がそろうとできるのか見ていきましょう。
現れるための奇跡的な条件
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出典:https://www.facebook.com/andrew.sietsema/posts/10219054664702191
表面にきれいな氷の層ができる、りんごが凍らずに液状化するま腐りきる、りんごの形をした氷が解けずに残るといった条件が折り重なることで見ることが出来ます。
それぞれどんな条件が必要なのか見ていきます。
透明で綺麗な氷の層ができる
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この現象は「雨氷」と呼ばれる非常に珍しい現象で、0℃以下の凍っていない過冷却状態の雨がに物体(りんご)にぶつかることで凍結する現象です。
過冷却の雨じゃなくても、雪がぶつかればできるんじゃないの?と思うかもしれませんが、残念ながら雪がぶつかっても氷の層は形成されず、水蒸気や水滴が表面についても「樹氷」と呼ばれる現象になります。
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雨氷
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樹氷
雨氷の条件は非常に厳しく、逆転層が出来ていて、なおかつ気温が氷点下数℃~0℃になっている状態で雨が降る必要があります。
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雨氷の発生条件
Photograph by Pekachu
滅多に見られない珍しい現象のため、ゴースト・アップルでなくても出会えたら嬉しい自然現象です。
逆転層や雨氷などの珍しい冬の自然現象については以下のページで詳しく紹介しています。
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りんごが凍らずに腐る
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冷蔵保存よりも冷凍保存のほうが食品が長持ちするように、凍ってしまえば腐敗は進まないため、りんごが液状化して氷の層から出ていくこともありません。
水は凍るけどりんごは凍らない温度なんてあるの?という疑問がわくと思いますが、実はそんな温度が存在します。
水の融点(凍る温度)は0℃なのは知られていますが、塩を最大まで溶かした塩水は-21.3℃まで凍らないことが知られています。このように水の中に溶けている成分によって融点が変わります。
品種や個体差はありますが、一般的にりんごが凍るギリギリの温度(氷温)は-2℃ほどとなっています。そのため、水が凍ってりんごが凍らない温度は-2℃~0℃と非常に限られた温度ということになります。
実際には腐敗が進む中でりんごの内部が発熱し外気温が-2℃よりもさらに寒くなったとしても、りんごの腐敗は進むかもしれませんが、それでも非常に限られた条件が長い時間続かなければなりません。
ゴースト・アップルが残る
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ゴースト・アップルが出来上がったとしても、気温が上がってしまえば当然ながら溶けてしまいます。
りんごが腐りきってから人目に触れるまでの長い期間昼夜問わず気温が低い状態が続かなければならないため限られた地域でしか見ることができないと言えるでしょう。
その見た目だけでなく、人目にあまり触れずにいつの間にかできてもいつの間にかきえてしまうところにゴーストの名前にふさわしいのかもしれません。
まとめ
ゴースト・アップルは特定の地域で極稀に見られる自然が生み出すリンゴの形をした氷像です。
2019年にミシガン州の果物農園で確認され、SNSがバズりCNNでも取り上げられたことで多くの人に知られるようになりました。
雨氷が発生しりんごに氷のコーティングが出来た状態から、りんごが液状化するほど腐って穴から抜けることで完成しますが、この条件が整うのは奇跡と言っても過言ではないほど確率が低い現象です。
もしも出会えたら必ず写真に収めるようにしましょう。ちなみに、雨氷だけでも珍しい現象のため出会えたらラッキーです!
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