大気の状態によって様々な形状をみせる自然の神秘である雲。
晴れ、くもり、雨、雪などの天候は気になる人も多いと思いますが普段はあまり雲を意識的に見ることは少ないのではないでしょうか。
目を向けて見るとおもしろい形、怖い形、不思議な形などなど様々な表情を見せてくれますし、風景を撮るときには雲の有無や形によっても大きく印象が変わります。
基本の10種類
同じ種類でも様々な呼び方があったり見え方によって名前が付いてたりするのでもっともっとたくさんの種類がありそうに思ってしまいますよね。
分類 | 名前 | 高度 |
上層雲 | 巻雲 | 5,000〜16,000m |
巻積雲 | 5,000〜15,000m | |
巻層雲 | 5,000〜15,000m | |
中層雲 | 高積雲 | 2,000〜6,000m |
高層雲 | 2,000~7,000m、場合によっては13,000mにもなる | |
乱層雲 | 2,000〜5,000m程度、場合によっては地表付近〜10,000m | |
下層雲 | 層積雲 | 500〜2,000m |
積雲 | 500〜2,000m~10,000m | |
層雲 | 地表付近〜2,000m | |
積乱雲 | 地上付近〜16,000m |
巻雲(けんうん)

巻雲は高さ5000〜16000mと非常に高いところに現れます。
巻雲が空一面に広がると上空の水蒸気が多くなっていることを示すようで雨の日が近いと言われています。
巻積雲(けんせきうん)

うろこ雲でおなじみで小さい雲の群れのような形の巻積雲は高さ5000〜15000mに現れる上層雲の1つです。
秋頃によく見られるため、うろこ雲、いわし雲、さば雲のどれも俳句の秋の季語なんです。
良いことが起こる前触れとも言われている「彩雲」がよく見られる雲でもあります。
巻層雲(けんそううん)

巻層雲は白いベールで空が覆われたような薄い雲で高さ5000〜15000mに現れます。
薄すぎて雲があるのも気付かないようなことも良くあります。
巻層雲と太陽が組み合わさることで「暈(ハロー)」「幻日」「環天頂アーク」などの様々な神秘的な珍しい現象が見られることがあります。
太陽光で生まれる珍しい自然現象はこちらで詳しく紹介しています。

高積雲(こうせきうん)


高積雲は巻積雲(うろこ雲)と同じように小さい雲が何個も集まってる雲で高さ2000〜7000mにできる中層雲の1つです。
縦に伸びているような少し不思議な形になることもあります。
この雲も彩雲がよく見られる雲なのですが、不思議な形になったときに地震雲と言われ、何か不吉なことが起きる前兆とされることも多いです。ちなみに地震との関係は証明されていないようです。
高層雲(こうそううん)


高層雲は空を明るめのグレー色に染める雲で高さ2000〜7000m、最大で13000mほどに発生する中層雲の1つです。
高層雲を通して太陽を見るとふんわりとした明るさで時には太陽の丸い輪郭がくっきりと見えることもあります。
そんな様子からおぼろ雲とも呼ばれています。
巻層雲との違いは影ができるかできないかでだいたい判断できます。
乱層雲(らんそううん)


雨雲でおなじみの乱層雲は名前の通り雨や雪を降らせる代表的な雲です。
中層雲に分類されていますが現れる高さは様々で地上数百m〜上空10000m程まで幅広く分布します。
空が乱層雲に覆われると昼でも薄暗くどんよりとした雰囲気に包まれます。
層積雲(そうせきうん)


層積雲は高さ2000mほどに現れる下層雲の1つで天気を「くもり」にするもっとも一般的な雲です。
別名に「うね雲」とあるように畑のうねのように波打った形になったりと、風や太陽光の影響で様々な形になります。
夕方や朝方に雲の隙間から太陽光が漏れ出て光が地上に降り注いでいるように見える「天使のはしご(薄明光線)」も層積雲でよく見ることができます。
積雲(せきうん)
積雲はもっとも一般的な雲で雲を想像するとまっさきにこの形を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
高さ500〜2,000m程度に現れることが多く、もこもことした形をしています。
風などの影響で姿形をよく変えながら流れていきますが雲の底は平らであることが多いのも特徴の1つです。
動物の形に見えることもよくあるので見ていて楽しい雲です。わた雲がちぎれて小さくなると彩雲が見られることもよくあります。
中にはさらに成長して2,000mを超えて高さ10kmほどになる雲もありますが、雷を伴わないなどの特徴があります。
層雲(そううん)


層雲は雲の中でも一番低い位置に現れる雲で山間部に霧を発生させるため霧雲とも言われています。
地上付近から2000mほどの高さに現れますが条件が整うと山間部一面に雲の海が広がる「雲海」と呼ばれる神秘的な自然現象も見ることができます。
積乱雲(せきらんうん)


夏の風物詩でもある積乱雲は地上付近から上空16000mほどの高さにもなる巨大な雲でしばしば大雨や雷、雹(ひょう)を降らせたりと注意が必要な雲です。
日本ではよく夏に見ることができるため日中の太陽と青空、自然豊かな景色に入道雲といった懐かしい風景を思い起こさせてくれる雲でもあります。
珍しい雲18種類
雲は基本の10種類に分類されますがそこからできる珍しい雲をいくつかご紹介していきます。
かなとこ雲


かなとこ雲は、積乱雲の中でも上が平らで広がっている形をした雲で非常に強い勢力となっているときに見ることができます。
下から吹き上げる上昇気流で積乱雲がさらに大きくなろうとするときにある一定の高さ以上になれず横に広がり始めるためこのような形になります。
スーパーセル


スーパーセルは大量の雹(ひょう)や時速150kmの風、数千数万の落雷、非常に激しい集中豪雨、強力な竜巻などを発生させる超巨大積乱雲です。
雲の形状や大きさから不気味な印象を強く与える雲です。
世界で最も発生する場所はアメリカ合衆国のグレートプレーンズ地域ですが2017年8月22日には日本の愛知県でも発生して大きな被害が出ました。
スーパーセルの上空では珍しい雷が発生するかもしれない現象なので要チェックです。雷についてはこちらで詳しく紹介しています!

レンズ雲


山や山脈の上、もしくは近くに現れる凸レンズに似た不思議な形の雲です。
上空の風が強い日によく見ることができます。
笠雲(傘雲)


レンズ雲が山の上にできたときには笠雲(傘雲)と呼ばれることもあります。
吊るし雲


「山岳波」と呼ばれる山に流れる特別な風によって山の近くにもレンズ雲が現れるようになります。
頭巾雲、ベール雲


積雲や積乱雲の上に現れることがあります。
乳房雲


乳房雲は様々な雲に現れますが特に積乱雲で見ることができる雲で大気の状態が不安定で乱流が起きてるときに見る事ができます。
こぶの様な形をしていますがこの雲が見えるときは大雨や雷、雹、竜巻などが起きる可能性があり注意が必要な雲でもあります。
穴あき雲


穴あき雲は名前の通り雲の中にぽっかりと穴が空いている雲です。
そんな状態で飛行機などが通って衝撃が与えられると一気に凍って地面に落下していって穴あき雲ができます。
漏斗雲


竜巻に伴って発生する雲で細長い形をしている珍しい雲です。
アーチ雲


分厚い積乱雲などの雲の底の部分に見ることができる雲で、非常に大きく街が飲み込まれてしまうような印象を与える不気味な雲です。
大雨や突風、雷などの荒れた天候になることが多く、スーパーセルと一緒に見られることもあります。
真珠母雲


真珠母雲は冬の北極や南極といった高緯度地域で見ることができる色鮮やかな雲です。
オゾン層のある高さ20〜30kmと非常に高い位置にある雲で、オゾン層の破壊に深く関係しているとのことで研究対象にもなっています。
虹のように光の屈折で色が変わっているわけではなく、空気中の成分が異なるために色がついているようです。
夜光雲


夜光雲は高さ80,000m(80km)付近と非常に高い位置に現れる雲で日が昇る前か沈んだ後でも太陽に照らされて夜でも光って見える雲のことです。
また、西日本では打ち上げられたロケットによってできた雲がオーロラのような美しい夜光雲となって観測されたこともあります。
波状雲


波状雲は名前の通り波打ったように見える雲で様々な種類の雲で現れる比較的出会いやすい雲です。
特徴的な形で地震雲として紹介されてしまうこともありますが地震との関係は証明されていないようです。
アスペラトゥス波状雲


アスペラトゥスには「荒々しい、荒れ狂った」と言った意味があるように大気が非常に不安定なときに見られると考えられています。
ケルビン・ヘルムホルツ不安定性雲


いくつもの打ち寄せる波を横から見たような形をしていて、大気が不安定なときに見ることができます。
モーニング・グローリー


モーニング・グローリーは巨大回転雲や巨大ロール雲とも呼ばれるロール状の大きな雲です。
長さはなんと1000kmにもなることがあるようです。
世界で一番よく見ることができるのはオーストラリア連邦北東部クイーンズランド州のバークタウンと言われています。
雲海


雲海は山間部などに現れる雲の海です。
標高の高い山頂や飛行機などから条件が揃うと見ることができる雲で秋や春の明け方によく見ることができます。

滝雲


日本でも新潟の枝折峠でよく見ることができます。
見るためには3つの条件が必要で雲海よりも珍しい現象です。
人工的な雲
ここからは人工物によって発生する雲を少し紹介します。
飛行機雲


小さい子に人気の飛行機雲は飛行機やジェット機のエンジン排気に含まれる水分が雲となる現象です。
ベイパーコーン


ベイパーコーンは湿度が高く気圧が高い場所で音速(秒速340m、マッハ1)近くになると円錐の形の雲ができる現象です。
最近の戦闘機はマッハ2(秒速680m)をゆうに超えるため条件が揃えばベイパーコーンが現れる可能性があります。
まとめ
普段はあまり目に止めない雲もこのように見てみると不思議な形、不気味な雰囲気など魅力的な被写体になることに気がつくのではないでしょうか。
コメント
ベレー帽みたいな形の雲が2段重ねで
夕方見ました
かなり綺麗なモコモコでした
コメントは削除してもいいですが、積雲の高度についてちゃんと調べたほうがいいですよ。
それと積乱雲の写真も積雲です。専門外なのはわかりますが恥をかくのはあなたです。みっともない。
コメントありがとうございます。早速記事を修正いたしました。
また何かお気づきの点がありましたらコメントいただければと思います。
今後ともよろしくお願い致します。
中層雲の高積雲が、高層雲になってます!
コメントありがとうございます!誤字修正しました。
ロール雲だと思ったら層積雲だった
層積雲のところのくもりがくうもりになってます。
ご連絡ありがとうございます!修正いたしました。また何かお気づきの点がありましたらご連絡いただけますと幸いです。