漫画「鬼滅の刃」の人気キャラクターである煉獄杏寿郎が使う技「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」でも使われているため、不知火という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
2024年、熊本県立宇土高等学校の生徒が地元漁協の協力を得て観測に成功したことでも話題になりました。
今回は不知火がどのような現象なのか紹介していきます。
不知火(しらぬい)とは?
日本では鬼火や人魂、狐火、海外ではウィルオウィスプなど原因不明の火(光)が現れる怪異現象のことをまとめて怪火と呼びます。怪火は世界各地でたびたび恐怖の対象とされていて、人の生死にかかわるという伝説や言い伝えが残っています。
不知火は海岸から数km沖に数百から数千もの火が現れる現象で九州に古くから伝わる怪火の一種で、昔は妖怪といわれていました。
午前1時~午前5時頃までの間に現れることが多く、最初は親火と呼ばれる火が1,2個現れて、そこから徐々に数を増やして最終的には数百から数千の火が4~8kmにもおよび長さで横並びに姿を現します。
不知火は海面近くにはなく、海面から高さ10mほどの場所に現れると言われています。また、不知火に近づこうとするとどんどん離れていくため決して近づくことはできません。
ちなみに、昔は「龍神の灯火」とも呼ばれており、付近の漁村では不知火が見える日に漁に出ることは禁止されていました。
別名千灯籠(せんとうろう)、竜灯(りゅうとう)とも呼ばれています。
不知火の正体
怪火の中には科学的に証明されていないものもありますが、不知火は大正時代に入り解明する動きが高まったことで科学的に解明され、その正体が蜃気楼であることが分かりました。
https://camerapocket.com/shinkirou/
蜃気楼にはいくつか種類がありますが、不知火はその中でも特に珍しい鏡映蜃気楼(側方蜃気楼)によって起きる現象です。これは、実物に対して横方向に蜃気楼が現れるもので、幾重にも光が屈折することで1,2個の火が数百、数千にも増えたように見えます。
このもとの火は夜間に魚を漁船に近づけさせるための漁火とされています。現在では照明器具に置き換わっており、2024年に実に36年ぶりに撮影された不知火は漁船のライトが使用されました。
不知火の発生条件
不知火が発生する条件として、海水の温度が一年の中で最も上昇し、干潮で推移が6mほど加工して干潟ができ、さらに急激な放射冷却が起きると発生する可能性があると言われています。
これに加えて九州の内海の地形等が重なり極稀に発生すると言われています。
不知火がみられる場所
不知火は九州に伝わる怪火であるように九州の一部地域で発生すること確認されています。
八代海
九州と天草諸島に囲まれた内海で北は有明海、南は東シナ海につながっています。不知火がみられることから不知火海とも呼ばれています。
有明海
九州北西部にある海域で講義では天草灘と通じる早崎瀬戸や天草諸島に至るまでの島原湾全体を指す、とされています。
永尾剱神社(えいのおつるぎじんじゃ)
熊本県宇城市不知火町永尾にある神社で、八代海の海中に立つ鳥居がある眺めの素晴らしい素敵な神社です。
参拝客が多く訪れるだけでなく、不知火の発生条件が重なったときの撮影スポットとして多くの撮影者が集まる場所でもあります。
その他の不知火
柑橘類の品種
清見とポンカンを交配させて生まれた柑橘類の品種が不知火(シラヌヒ)となずけられました。不知火のうち糖度が13度以上のものを「デコポン」という商品名で販売しています。
不知火は品種、デコポンが商品名です。今ではデコポンという名前のほうが知っている人が多いかもしれません。
まとめ
不知火は九州の一部地域で極稀に見られる自然現象で、沖にある漁火が数百から数千にも横並びに増える不思議な現象です。2024年に撮影されましたが、その前に撮影されたのはなんと36年前になるほどめったに見られない現象です。
その正体は様々な条件が重なったときに見られる鏡映蜃気楼(側方蜃気楼)で、光の屈折による現象であると解明されています。
蜃気楼の中でも滅多に見られない種類の蜃気楼ですが、八代海や有明海などの地形が生み出す超希少な自然現象です。
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