光学ズームとデジタルズームの違いを徹底解説|それぞれのメリット・デメリットとは?

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カメラを選ぶ際、必ず目にするズームという機能。一眼レフ等のデジタルカメラではもちろんのこと、スマートフォンでも「光学○倍ズーム」「デジタル○倍ズーム」などと表記されているように搭載されており、遠くの被写体を大きく写すために不可欠な機能です。
しかし、このズームには大きく分けて「光学ズーム」と「デジタル(電子)ズーム」の2種類があるのをご存知でしょうか?今回は、それぞれの仕組みからメリット・デメリット、そして両者の違いについて、詳しく解説していきます。

光学ズームとは?

光学ズームは、カメラのレンズ自体を物理的に動かすことで焦点距離を変化させ、被写体を拡大する仕組みです。
イメージセンサーに対してレンズの位置が離れるほど(焦点距離が長くなるほど)遠くのものを大きく写すことができるため、光学ズームに対応しているカメラ、スマホはレンズを動かす機構を有しています。

メリット

  1. 画質の劣化がない: 光学的な処理のため、画像を拡大しても画質の劣化がほとんどありません。細部まで鮮明な写真を撮ることができます。
  2. 自然なボケ感を表現: レンズの焦点距離が変わることで、背景のボケ感も自然に変化します。ポートレートなどで被写体を際立たせる表現が豊かになります。
  3. ダイナミックな表現: 広角から望遠まで、レンズの焦点距離を大きく変えることで、写真の印象をダイナミックに変えることができます。風景写真で広大な景色を捉えたり、望遠で遠くの被写体を迫力ある大きさに写したりと、表現の幅が広がります。

一眼レフやミラーレスでは焦点距離を変更できない単焦点レンズというレンズもあります。

デメリット

  1. レンズが大型化・高価になりやすい: 高倍率の光学ズームを実現するためには、複雑なレンズ構成が必要となり、カメラやレンズ自体が大きく、そして高価になる傾向があります。特に一眼レフやミラーレス一眼の交換レンズは、その傾向が顕著です。
  2. ズームできる倍率に限界がある: レンズの設計上、ズームできる倍率には限界があります。それ以上の拡大は、後述するデジタル(電子)ズームに頼ることになります。
  3. 小型のデバイスには搭載しにくい: スマートフォンのように薄型・軽量が求められるデバイスには、物理的にレンズを動かす光学ズーム機構を搭載することが難しい場合があります。一部の高級スマートフォンには光学ズームが搭載されていますが、その分本体が厚くなっていることがあります。

一部のスマートフォンでは、光学レンズを搭載したとしても変えられる焦点距離は制限されるため、複数のレンズを搭載してコンパクトさと広角~望遠まで対応できるようにしています。

デジタル(電子)ズームとは?

一方、デジタルズーム(電子ズームとも呼ばれます)は、撮影した画像をカメラ内部のソフトウェア処理によって拡大する仕組みです。
画像をトリミングして拡大表示するイメージに近く、原理的にはパソコンなどで画像を拡大するのと同じです。このことによるメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

  1. 小型のデバイスにも搭載しやすい: レンズを物理的に動かす必要がないため、スマートフォンなどの小型デバイスにも容易に搭載できます。
  2. 高倍率のズームを実現しやすい: ソフトウェア処理による拡大のため、光学ズームの限界を超えた高倍率のズームを実現できます。
  3. 比較的安価に実現できる: 光学的な機構が不要なため、カメラやスマートフォンの製造コストを抑えることができ、価格の低下につながります。

デメリット

  1. 画質が劣化しやすい: 元の画像を拡大するため、どうしても画質の劣化が生じます。拡大率が高くなるほど、画像が粗くなったり、ノイズが目立ったりする傾向があります。
  2. ボケ味の変化がない: 光学ズームのようにレンズの焦点距離が変わるわけではないため、背景のボケ感は変化しません。
  3. 不自然な仕上がりになることがある: 高倍率でズームした場合、画像が引き伸ばされたような不自然な仕上がりになることがあります。

光学ズームと電子ズームの違いまとめ

特徴 光学ズーム 電子ズーム
仕組み レンズを物理的に動かして焦点距離を変化させる 撮影した画像をソフトウェア処理で拡大する
画質 劣化が非常に少ない 劣化しやすい
ボケ感 強くなる 変化しない
デバイス 大型になりやすい 小型デバイスにも搭載しやすい
ズーム倍率 限界がある 高倍率を実現しやすい
コスト 高価になりやすい 比較的安価

このように、光学ズームと電子ズームは、その仕組みと特徴が大きく異なります。

画質を重視するなら光学ズームが圧倒的に有利です。一眼レフやミラーレス一眼の大きなレンズがもたらす高画質は、写真のクオリティを大きく向上させます。

このようなメリットから、スポーツや生き物の撮影にはものすごく大きな望遠レンズを使って、最高画質の写真が撮影されています。

一方、手軽さや高倍率のズームを求めるなら電子ズームが便利です。特にスマートフォンでは、光学ズームの限界を補うために電子ズームが搭載されていることが多く、SNSへの投稿など、手軽に遠くのものを大きく写したい場合に役立ちます。

最近のスマートフォンの中には、複数のレンズを搭載し、光学ズームに近い画質でズームできる機種も登場しています。また、電子ズームの画質を向上させるための画像処理技術も進化しており、以前に比べると画質の劣化が目立ちにくくなってきています。

カメラを選ぶ際には、自分がどのような写真を撮りたいのか、何を重視するのかを考慮し、光学ズームと電子ズームの特性を理解した上で最適な一台を選ぶことが大切です。

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