今回の発見は一眼レフやミラーレス、スマホなどのカメラだけでなく、レンズを使用している天体望遠鏡など様々な分野への応用もできると考えられています。
画質が悪くなってしまう「収差」とは?
皆さんご存知の通り光は直線にまっすぐ進む性質がありますが、レンズや水滴、空気などを別の物質がある場所を通ると「吸収」「透過」「反射」「屈折」「散乱」「分散」などの現象が起きるので、光の向きが曲がったり、光が弱くなったりします。
このようにレンズを通ることによって起きる画質の劣化をまとめて「収差」とよびます。
収差には大きく2種類があり、さらに細かく名称が分かれていますが、今回はざっくり主な2種類の収差を紹介していきます。
球面収差(ザイデル収差)
カメラに使われているレンズは1枚のレンズではなく、凸レンズや凹レンズなど様々なレンズが数枚~十数枚集まってできているので完璧に打ち消すことはできませんでした。
色収差
雨上がりなど空気中にたくさんの水蒸気に太陽光が当たると虹が出るようにレンズを通ることで色が分かれてしまいます。この色のにじみのことを色収差と言います。
カメラレンズの中には鏡を利用したミラーレンズというものもあるので色収差を気にしなくて大丈夫というメリットがあります。
今回の発見内容とすごいところ
「球面収差」を完全に補正できる公式を発見!
光が何枚ものレンズを通って最終的にカメラの眼であるイメージセンサーで一点に集まることで鮮明でクリアな高画質写真を撮ることができます。
ただし、この非球面レンズの形は構成されているレンズによって変わります。さらに、どのような形状にすれば補正できるかはわかっていなかったため1つ1つ修正しながら高精度なレンズを作り上げる必要があります。
この発見によって今の技術でも修正しきれていなかった小さな球面収差も完璧に補正できるようになると考えられます。
実際にはわかりませんが、製品に使用された際はコストも削減されるのかな?と個人的には思います。(付加価値がついたことでレンズの値段は上がってしまうかもしれませんが。。。)
現在(従来)の収差補正レンズ
現在使われている補正用の非球面レンズは、名前の通りきれいな球面をしているわけではなく、凹凸があるレンズになっています。
新しい収差補正レンズ
新しく発見されたレンズの形は断面を見ると髭のようなうねうねした形で、正面から見るとビン底メガネのような山と谷のある水面の波紋みたいな形になっています。
500本ほどの光線でシミュレーションしたところ平均満足度は99.9999999999%とのことでとんでもない精度で補正できることがわかります。
2000年以上って本当?
レンズは大昔からあり、活用されてきていますが、紀元前2世紀に活躍した前のギリシャの数学者である「ディオクレス」も収差について言及していることから昔から問題視されていた問題と言えます。
17世紀に活躍し、重力なども発見したかの有名な天才「アイザック・ニュートン」や同時期に現れた天才数学者「ゴットフリート・ライプニッツ」もこの収差の問題に取り組んだが解決できなかったと著書も残っています。
発見者と経緯
発見した経緯は、以下のとおりモンテレイ工科大学のインタビューにコメントしています。
“Me acuerdo queuna mañana me estaba preparando un pan con Nutella, y de repente dije: ¡madres! ¡está ahí! “.「朝、ヌテラ(イタリアのチョコレートスプレッド)をパンに塗ってたら、ひらめいて思わず叫んだんだ。ママ、答えはここにあるって」
ひらめいた瞬間からプログラムに没頭して、数式が証明されたときには飛んで喜んだそうです。
まとめ
球面収差は現在のレンズでは大なり小なり怒ってしまい画質が多少悪くなってしまうことがありましたが今回の発見で、高額なレンズよりもさらに鮮明でクリアに写せるレンズが登場するのも時間の問題かもしれません。
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