小さい被写体でも大きく写すことができるマクロ撮影は花などを普段とは違う目線で楽しむことができる楽しい撮影方法です。
マクロ撮影は基本的にマクロレンズを使用することで楽しむことができるようになります。
しかし、カメラを始めたばかりの方は特にマクロ撮影のためだけに新しいレンズを持つのは大変、と思う方も多いと思います。
そこで、マクロレンズではない普通のレンズでも気軽にマクロ撮影が楽しめるアクセサリである「クローズアップレンズ」を紹介していきます。
クローズアップレンズとは?
クローズアップレンズは、通常のレンズに取り付けることでマクロ撮影できるようになるアクセサリです。ちょうど虫眼鏡越しに撮影するようなイメージです。
取り付けは保護フィルターやNDフィルターなどのフィルターと同じようにレンズの径に合ったものを選んでレンズの先端にねじ込む形で簡単に取り付けることができます。
フィルターと同じような使い方になるため「マクロフィルター」と呼ばれることもあります。
小さいものをどのくらい大きく写せるかを表す最大撮影倍率が上がり、最短撮影距離も短くすることができます。
取り付けるレンズの焦点距離に応じたクローズアップレンズを取り付ける必要があり、合わないものをつけてしまうとピントが合わせられなくなる可能性があるので注意しましょう。
クローズアップレンズのメリット
安いためお手軽にマクロを楽しめる
マクロ撮影に対応しているレンズは安くても数万円しますが、クローズアップレンズなら1,000円程度からと非常にリーズナブルにマクロ撮影を楽しむことができます。
倍率の変更が簡単
クローズアップレンズには様々な倍率のものがあります。倍率が高ければ被写体により近づいて小さいものも大きく写すことができます。
取り付けるクローズアップレンズを変えることによって被写体や撮影する場面によって倍率を簡単に変えることができます。
クローズアップレンズのデメリット
マクロレンズと比べたときのデメリットを紹介していきます。
マクロ撮影しかできない
屋外での撮影では通常の撮影もマクロ撮影も撮りたいときがあると思いますが、マクロレンズであればマクロ撮影から通常の撮影にも対応しているため手間もかからず非常に便利です。
クローズアップレンズをつけてしまうとピントの合う場所が非常に狭くなるのでマクロ撮影しかできなくなります。通常の撮影をしたい場合はクローズアップレンズを取り外す必要があります。
マクロ撮影がしたいときだけ取り付けなければいけないので撮り方を変えたいときには手間がかかってしまいます。
ノイズや周辺光量落ちが出る
特に、安いクローズアップレンズでは収差の補正やコーティングを考えておらず撮り方によっては画質が著しく悪くなってしまうことがあるので注意しましょう。
また、レンズとクローズアップレンズの相性にもよりますがクローズアップレンズのふちの影響で写真の四隅が暗くなってしまう周辺光量落ちが発生してしまう可能性があります。
クローズアップレンズの選び方
クローズアップレンズを選ぶときの4つのポイントをまとめました。
レンズに合わないものを選んでしまうと使えなかったり画質が悪くなってしまう可能性があるので注意しましょう。
レンズの径に合わせよう
レンズの径に合わせたクローズアップレンズを選ばないと装着できないので注意しましょう。
取り付けるレンズの径は必ずレンズに記載されていて、52mmの場合は「Φ52」や「52mm」と書いてあります。
きちんとレンズ径を確認して合ったものを選ぶようにしましょう。
最短撮影距離に合ったNo.を選ぼう
クローズアップレンズは「No.1、2…10」や「+1、2…10」のような表現がされています。
No.や+の値が大きいほど小さいものを大きく写すことができます。最短撮影距離が短いレンズにNo.10などをつけてしまうとピントが合わせられなくなるので注意しましょう。
最短撮影距離50cmのレンズを使ったときの大体の目安をまとめました。
種類 | 撮影できる距離 | おすすめのレンズ |
No.1 | 約33~100cm | 最短撮影距離1m以上 |
No.2 | 約25~50cm | |
No.3 | 約20~33cm | 最短撮影距離30~50cm程度 |
No.4 | 約17~25cm | |
No.5 | 約14~20cm | |
No.10 | 約8~10cm | 最短撮影距離が50mm程度以上 |
収差の補正が考慮されているか
クローズアップレンズをつけることで光が通るレンズの枚数が増えるためゴーストや画質の低下を招く収差が発生しやすくなってしまいます。
画質の低下を防ぐためのコーティングがしっかり施されているか確認するようにしましょう。
中には収差を補正するために2枚のレンズを組み合わせたものもあるのでより画質の良い写真を撮ることができるようになります。その分レンズが厚くなってしまうので次に紹介するケラレに注意しましょう。
ケラレが発生しないか
2枚のレンズを組み合わせたものやNo.10のクローズアップレンズは厚みのあるものが多いため、使用するレンズによっては写真の四隅に写り込んでしまい暗くなってしまうことがあります。
この現象を「ケラレ」と言い、写真の仕上がりを悪くさせてしまいます。
焦点距離が短いほど起きやすいので使用するレンズで問題ない厚さかしっかり確認するようにしましょう。
おすすめのクローズアップレンズ
レンズフィルターの開発、販売も行っている「Kenko Tokina」や「MARUMI」といったメーカーのものが高い品質と信頼性がありおすすめです。
好みやレンズとの相性もあるのでどちらが良いかは一概には言えませんが、レンズによってはクローズアップレンズをつけるとフードが取り付けられなくなる場合もあるので注意しましょう。
クローズアップレンズの使い方とマクロ撮影のポイント
マクロ撮影はぶれやすく手持ち撮影ではうまく撮影できないことがあります。
そこできれいに撮影するためのポイントとクローズアップレンズの使い方の応用も紹介していきます。
重ね合わせもできる
No.1やNo.3など倍率によって番号が変わりますが、重ね合わせることでさらに倍率を上げることができます。
No.1+No.2=No.3相当、のように2つや3つを足し合わせたNo.と同等の倍率になります。
クローズアップレンズをたくさん持ち歩きたくない、という方は2枚以上を組み合わせて使うこともできるのでオススメです。
ただし、その分厚みが増えるためケラレに注意しましょう。
三脚とレリーズを使おう
小さいものを拡大して撮影するので少しのブレでも大きく影響してしまいます。
また、被写界深度がかなり浅くなる(ピントの合う範囲が狭くなる)ので少し動いただけでもピントがずれてしまいます。
ピント合わせはマニュアルフォーカス
マクロ撮影ではマニュアルフォーカスでも楽にピントを合わせることができます。
まとめ
マクロ撮影はしたいけどマクロレンズは高くて手が出しづらい。。と思っている方はまずはお手軽にマクロ撮影を楽しめるクローズアップレンズを試してみてはいかがでしょうか。
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