カメラの設定をいくら変更しても小さいものを大きく写すことはなかなかできません。大きく写すためにはレンズを変えたりする必要があります。
そこで、小さいものを大きく写すことができるマクロレンズについて紹介していきます。
マクロレンズで顕著に表れる効果や使い方、おすすめのレンズも確認していきましょう。
マクロレンズとは?
マクロレンズは最大撮影倍率が0.5倍や1倍と高く、被写体を大きく写せるレンズのことです。
最大撮影倍率はイメージセンサーの大きさに対して被写体がどこまで大きく写せるかを表していて0.5倍や1倍、2倍など値が大きければ大きいほど小さい被写体を大きく写すことができます。
標準の最大撮影倍率は0.15倍から0.25倍程度のレンズが多いのであまり大きく写すことができません。
最大撮影倍率についてはこちらで詳しく紹介しているので確認してみてください。
マクロレンズの種類
マクロレンズの分類としてはあまり多くありませんが焦点距離によっていくつか呼び方が変わります。
マクロレンズの特長は大きく写せることですが焦点距離が短いものから長いものまでマクロ撮影に対応しているレンズがあります。
焦点距離によるマクロレンズの分類
マクロレンズには焦点距離によって大まかに3つに分類されます。
明確に焦点距離によって分類分けされているわけではないので参考程度に見ていきましょう。
標準マクロレンズ
焦点距離40mm~70mm程度のマクロレンズで標準レンズのような使い方ができるレンズです。
被写体に近づいて撮影できるので花などの動かない被写体や室内などで使うときに便利なレンズです。
中望遠マクロレンズ
焦点距離80~135mm程度のレンズで通常の望遠レンズであればポートレートレンズとも言われる焦点距離のレンズです。
被写体から少し離れた場所から大きく写したいときに便利なレンズです。
望遠マクロレンズ
焦点距離150mm~200mm程度の望遠のマクロレンズです。
近づくことができない生き物などを写すときに便利なレンズですが、室内など狭い場所では使いづらくなってしまうので注意しましょう。
焦点距離とマクロ撮影の関係
基本的に焦点距離が長くなればなるほど最短撮影距離(ピントが合う最短距離)が長くなります。
標準マクロレンズは、室内などで使う時に便利ですが、外で撮る時にはかなり被写体に寄らないとならないので撮りづらくなってしまう場合があります。
逆に焦点距離が長いレンズでは遠い場所にあるものでも大きく写すことができますが、大きく写すときにはある程度距離が必要になるので狭い場所での撮影などでは使いづらい場脚があるので注意しましょう。
マクロレンズの効果
マクロレンズで顕著に表れる効果について紹介していきます。
独特の効果にはより印象的に見せることができるものもあれば撮るのが難しくなるものもあるので確認していきましょう。
接写撮影が可能
焦点距離が短いマクロレンズであれば被写体に近づいてもピントを合わせることができ、被写体をより大きく写すことができます。
焦点距離が長いレンズの場合には通常の望遠レンズよりもさらに被写体に近づいて大きく撮影することができます。
よくある勘違いですが、望遠レンズのほうがマクロ撮影できると思ってしまう方もいると思いますが、望遠レンズは遠くにあるものを大きく写せますが、どれだけ大きく写せるかは最大撮影倍率によって決まります。
ボケやすい
写真のボケやすさは「レンズの焦点距離(センサーサイズ)」「被写体との距離」「絞り具合」の3つで決まります。
マクロレンズはこの中の被写体との距離が非常に近くなるのでよりボケを楽しみやすいレンズになります。
被写体に近いほど被写界深度は浅くなり、離れるほど被写界深度が深くなるので、被写体に近づいて撮影できる分ボケを強調した写真を撮ることができます。
ぶれやすくピントがずれやすい
ブレには被写体が動いてしまう被写体ブレと、カメラが動いてしまう手ブレがあります。
ブレについては三脚やレリーズを使つかったり、シャッタースピードを上げることで防ぐことができます。
もう1つ気をつけなければいけないのがピントずれです。
特に絞りを開放したマクロ撮影は被写界深度が非常に浅くなるのでブレないシャッタースピードで撮ったとしても少しぼやけたような写真になってしまうことがあります。
そんな時にはカメラを固定して、マニュアルフォーカスでしっかりピントを合わせましょう。
マクロレンズは通常の撮影も可能
よく「マクロレンズは接写専用で被写体には近づけるけど通常の撮影はできない」と勘違いされることが多いですが、通常の撮影もできます。
基本的にマクロレンズは、接写でもピントが合うような設計となっていますが、遠くのものにもピントが合わせられるようになっています。
そのため、被写体を大きく写す以外にも普通の単焦点レンズとしての撮影も十分楽しめます。
ただし、マクロレンズではない明るい単焦点レンズは比較的安いものでもF1.4、F1.8などのレンズもあるので、ぼけを強調して撮影したい!という方は明るさに特化した単焦点レンズを使いましょう。
マクロレンズの撮影テクニック
マクロレンズを使うときのポイントをまとめてみました。
三脚を使おう
小さいものを非常に大きく写すため、小さな手ブレも大きくなってしまいます。
一般に35mm換算の焦点距離分の1よりも速いシャッタースピードにするとぶれなくなってくると言いますが、マクロレンズの場合はもっと速くしないと被写体がぶれてしまいます。
マクロ撮影で大きい三脚を使いたくないという方は、持ち運びに便利な小型の三脚もあるので是非活用してみてください。
レリーズを使おう
カメラを固定したとしてもシャッターを押すときにカメラが動いてしまってはせっかくカメラを固定しても意味がなくなってしまいます。
マニュアルフォーカスも使おう
オートフォーカスではピントが甘くなってしまったり思い通りの場所にピントが合わないことも多いので、マニュアルフォーカスも活用して撮影しましょう。
マニュアルフォーカスを使うときにはレンズ横のAF/MFスイッチを切り替えるようにしましょう。
ピントリングを回して思い通りの場所にピントを調整することができます。
マクロレンズを使って撮りたい被写体
マクロレンズを使って撮ると面白い被写体をいくつか紹介します。
花
写真いっぱいに広がるマクロ撮影では普段は小さく目立たない花でもキレイに見せることができます。
あたり一面に広がるお花畑も素敵ですが、マクロ撮影では花が一輪咲いていれば場所を選ばずに普段とは違った撮影を楽しむことができます。
水滴
キレイな丸になる水滴の大きさは1cmにも満たないくらい小さい必要があります。
その小さな水滴を撮影するにはマクロレンズが必須です。焦点距離が長いほうがレンズを汚す心配がないので焦点距離の長めなマクロ望遠レンズが特におすすめです。
水滴の動きは非常に速いのでシャッタースピードをなるべく速くして撮影に臨みましょう。
生き物
小さな生き物もマクロ撮影を楽しめる被写体の一つです。
被写体も動くため撮影の難易度は高いですが、その分きれいに取れたときは非常にうれしくなる撮り方です。
蝶々やカワセミなどの小柄な鳥などもマクロ撮影であればとっても大きく感動的な写真になります。
マクロレンズの選び方
レンズを選ぶときのポイントはこちらの記事で細かく紹介していますが、ここでは特に意識すべきポイントを紹介していきます。
最大撮影倍率
マクロレンズを選ぶときに気をつけたいのは、やはりどこまで大きく写せるかを表す最大撮影倍率はしっかりと確認しておきましょう。
マクロレンズのほとんどは0.5倍~1倍程度のものが多く、十分マクロ撮影を楽しむことができます。
中には2倍というレンズもありますが非常に限られており普段の撮影ではそこまで必要ない被写体がほとんどです。
安価なものは0.5倍というものも多いですが本格的にマクロ撮影に調整したいという方は1倍のレンズがオススメです。ピント合わせに余裕ができるので撮影の幅も広がります。
最短撮影距離(焦点距離)
レンズを選ぶときに焦点距離を確認するのはもちろんですが、それと同時に最短撮影距離も確認するようにしましょう。
基本的には焦点距離が長くなるほど最短撮影距離も長くなり、焦点距離が短いほど最短撮影距離も短くなります。
最短撮影距離で撮影したときが最も大きく被写体を写せることになるので実際に撮影するときのイメージを持つようにしましょう。
おすすめのマクロレンズ
接写撮影が楽しめる標準マクロレンズ
焦点距離が比較的短くて標準レンズのような撮影の仕方も楽しめるレンズです。
短いものになると被写体との距離が10cmよりも近づいて撮影できるものもあるので小さいものでも大きく写せる接写撮影を楽しむことができます。
【SONY】SEL30M35
センサーサイズAPS-C専用のレンズで焦点距離30mm(35mm換算45mm)の標準マクロレンズです。
このレンズの最大の特長は最短撮影距離9.5cmと被写体に非常に近づいて撮影できる点です。花などの超近接撮影を実現できるため美しいボケ感とともに普段は撮影できない世界を表現することができます。
最大撮影倍率1倍でありながら重さも138gとコンパクト、超軽量を実現できるのでいつでもどこでもマクロ撮影を楽しめるおすすめのレンズです。
SONY以外のカメラを使用している場合は対応したマウントアダプターを使う必要があります。
焦点距離(mm) | 30mm | |
---|---|---|
開放絞り (F値) | 3.5 | |
最小絞り (F値) | 22 | |
絞り羽根枚数(円形絞り) | 7 | |
最短撮影距離 (m) | 0.095 | |
最大撮影倍率 (倍) | 1.0 | |
フィルター径 (mm) | 49 | |
外形寸法 最大径x長さ (mm) | 62.0 x 55.5 | |
質量 約 (g) | 138 |
【SONY】SEL50M28
35mmフルサイズに対応したマクロレンズで焦点距離50mmと中望遠レンズよりも広い範囲を写すことができるレンズです。
センサーサイズAPS-Cで使用した場合焦点距離75mm相当になるためカメラによっては中望遠としても楽しめます。
最大撮影倍率1倍、最短撮影距離16cmなのでマクロ撮影はもちろんのこと、開放絞りがF2.8と明るいレンズとしてボケ味を楽しむこともできるレンズになっています。
非球面レンズや特殊コーティングによる収差と呼ばれる画質低下を抑えた抜けの良いクリアな写真に仕上がります。また、フォーカスロックボタンもついているためピントずれを抑えられるなど機能面も素晴らしいレンズです。
焦点距離(mm) | 50 | |
---|---|---|
開放絞り (F値) | 2.8 | |
最小絞り (F値) | 16 | |
絞り羽根 (枚) | 7 | |
最短撮影距離 (m) | 0.16 | |
最大撮影倍率 (倍) | 1 | |
フィルター径 (mm) | 55 | |
外形寸法 最大径x長さ (mm) | 70.8 x 71 | |
質量 約 (g) | 236 |
ポートレート撮影も楽しめる中望遠レンズ
マクロレンズは通常の撮影も楽しむことができるため、マクロ撮影以外の用途でポートレート撮影も楽しめる中望遠マクロレンズもオススメです。
焦点距離の違う2つのレンズを紹介していきます。
【SIGMA】70mm F2.8 DG MACRO
焦点距離70mmの中望遠レンズでSIGMAレンズの画質最優先の設計思想である「Art」レンズの1つです。フルサイズにも対応しているので様々な機種で使用することができます。
被写体との距離が変わると画質が変わってしまうレンズが多い中、レンズ構成10郡13枚の中に収差やレンズ内の余計な反射、屈折を徹底的に抑えた、細かいところまで「カミソリ」のようなシャープで切れのある写真に仕上げることができます。
オートフォーカス時でもピントレンズを動かすことができるフルタイムマニュアルに対応しており扱いやすさも兼ね備えたレンズです。
さらに、ソニーフルサイズEマウントに完全対応しており、カメラ内手ブレ補正、カメラ内収差補正と完全互換性を実現しています。
キヤノン製カメラの「レンズ光学補正」にも対応しているためキヤノン、SONYユーザーのカメラ性能を最大限生かせる非常に嬉しいレンズになっています。
絞り羽根枚数 | 9枚 (円形絞り) |
---|---|
最小絞り | F22 |
最短撮影距離 | 25.8cm |
最大撮影倍率 | 1:1 |
フィルターサイズ | φ49㎜ |
最大径 × 長さ | φ70.8㎜ × 105.8㎜ |
質量 | 515g |
【TAMRON】SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD
焦点距離90mmのフルサイズに対応した中望遠レンズです。ポートレートレンズと呼ばれる焦点距離なのでマクロ撮影はもちろんポートレートも十分楽しめるレンズです。
マクロ撮影や望遠レンズでは手ブレしやすくなりますがこのレンズには強力な手ブレ補正機構がレンズ内に入っており、最大で3.5段階程度の補正を実現しています。
焦点距離90mmのため、通常は1/100以上のシャッタースピードが必要になりますが、手振れを補正を使えば1/10程度まで下げることができます。
特殊レンズ、コーティングによる高画質撮影ができることはもちろん、タムロン特有の美しいボケ感をF2.8という明るさとともに楽しむことができます。
焦点距離 | 90mm |
---|---|
明るさ | F/2.8 |
最短撮影距離 | 0.3m |
最大撮影倍率 | 1:1 |
フィルター径 | φ62mm |
最大径 | φ79mm |
長さ* | 117.1mm (キヤノン用) 114.6mm (ニコン用) 116.6mm (ソニー用) |
質量 | 610g (キヤノン用) 600g (ニコン用) 585g (ソニー用) |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り)** |
最小絞り | F/32 |
手ブレ補正効果 | 3.5 段 (CIPA規格準拠) |
まとめ
また、通常の撮影もできるレンズが多いため単焦点レンズとしても使えます。
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