絞りとは?写真の印象が大幅に変わる!絞りと明るさとボケの関係を解説

絞りについて_アイキャッチカメラ
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一眼レフやミラーレスを始めたばかりで最初に「絞り」という言葉を聞いたときに???と思う人がほとんどだと思います。

写真撮影においてこの絞りは非常に大事で今後も当たり前のように出てくる用語なのでしっかりと覚えておきましょう。

絞りとは?

絞りのイメージ図
絞りとは、レンズに入る光の量を調節するためのものです。
取り入れる光を増やすことを「絞りを開放する、開く」と言い、減らすことを「絞りを絞る」と言います。

絞りの効果①明るさを調整する

絞りの効果の1つは明るさの調節です。

光の調節量は「絞り値」や「F値」と言われF1.4、F2.8、F4、F5.6、F11、F22、F32のように表します。

数が大きいほど絞るためイメージセンサーに入る光が少なくなり、小さいほど開放して光を取り込むので撮影される写真が明るくなります。

F値が1/√2倍(約0.7倍)の値になると取り込める光の量は2倍になります。逆に、F値が√2倍(約1.4倍)になると取り込める光の量は半分になります。

明るさが2倍や半分になることを1段と表現します。F値が5.6から4.0になると明るさが2倍になるので1段明るくなると表現し、F5.6からF2.8になることを2段明るくなると表現します。

ISO感度とシャッタースピードと絞りの明るさの段数

絞りの効果②ボケやすさ(被写界深度)を調整する

絞りはボケやすさ(被写界深度)にも影響します。

絞りを開放するとピントが合う範囲が狭くなってボケやすくなり、絞りを絞るとピントの合う範囲が広くなるのでボケにくくなります。

被写界深度は絞りだけでは決まりませんが1つの重要な要素になります。

被写界深度を変えるときは絞りで調整することが多いので自分の使っているレンズでどの程度影響があるのか確認しておきましょう。

被写体や表現の仕方によって変えますが、詳しくはこちらで紹介しているのでぜひ確認してみてください。

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ボケとパンフォーカス

写真の表現でもピントが合っているかどうか、ボケをどのように使うかは重要なカギとなります。

まずはボケや聞き慣れない言葉だと思いますがパンフォーカスについて説明します。

ボケ(ぼかし、シャローフォーカス)

ボケの範囲とボケが出る場所

ボケは、ピントが合っていない範囲のことです。ボケやすい状態を「被写界深度が浅い」、ボケにくい状態を「被写界深度が深い」と表現します。

ピントの合っている場所から手前にも奥にもボケは発生します。また、ピントの合う範囲から離れれば離れるほどボケは強くなり、近ければ近いほどボケが弱くなるという特徴があります。

このボケ具合も写真を表現する一つの要素になります。ちなみに、ボケの概念は日本発祥で外国でも Bokeh(ぼけ)と言います。

パンフォーカス(ディープフォーカス)

ボケとパンフォーカスの比較

パンフォーカスは、被写界深度を深くすることで近くのものから遠くのものまでピントが合っているように見せる方法、または、その方法で撮影された写真のことです。

絞りを絞ると背景はボケにくくなりパンフォーカスに(ピントの合っている範囲が広く)なります。

絞れば絞るほどパンフォーカスになりやすくなりますがその分取り込める光の量も減るので絞りすぎは注意が必要です。

絞りとレンズ

絞りはカメラのレンズ内部の部品のため、レンズによって設定できるF値が決まってしまいます。

一般的には単焦点レンズは絞り値を小さくできるので明るくてボケやすいレンズになります。

焦点距離18-55mmのレンズだと最少絞り値はF3.5とかで、55-200mmのレンズの最少絞り値はF4.0とかになります。

それに対し、単焦点レンズはF1.8やF1.4といった非常に小さい絞り値のレンズも多いです。

F1.8やF1.4ともなるとピントが合わせるのも難しくなるくらいボケやすくなります。
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絞りすぎ、開放しすぎで画質が落ちる!?

絞りは絞りすぎても開放しすぎても多少画質が落ちてしまいます。

ただし、撮影した写真をズームしたり非常に細かい部分を気にしたりということでなければそれほど気にしなくても大丈夫なので安心してください。
ズームして使いたい場合には絞り値を変えてみることで画質を改善できるかもしれません。なぜ起きてしまうのか簡単に説明します。

小絞りボケ

小絞りボケの参考画像

絞りを絞れば絞るほど写真の細かい部分が不鮮明になる現象です。光の回折により、画質の鮮明さが失われて全体的にボケた写真になります。回折現象とも言います。

対策

小絞りボケの対策は、シンプルで絞り過ぎずに開放することで改善されます。

レンズにもよりますが一般的にはF4〜F11程度の絞りが適切なF値になるのでF30近くなるとディティールが失われる可能性があります。

どうして起きるの?

回折現象のイメージ図

回折は簡単に言うと波が壁の裏側に回り込む現象です。

回り込んだ波は弱くなるので、写真では光があまり届かない部分が不鮮明になるといった影響が出てきます。

壁を挟むと声が届きにくくなることをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。上の絵のように壁を挟むと声は小さくなりますが聞こえるのは回折で音が回り込んでいるためです。

声が小さくなるのと同じように光も回折が起きると光が弱くなって不鮮明になってしまいます。

収差

収差の参考写真

絞りを開放しすぎると発生する現象です。屈折の違いやプリズム効果(分散)から生じる色つきやボケ、歪みのことです。

上の写真は左は通常の写真、右の写真は編集で収差をつけています。

収差には「色収差」「球面収差」の2種類があります。

色収差

色収差のイメージ図

色収差は光の色によってレンズを通ったときの曲がり方が違います(屈折率が違う)。

太陽の光が水蒸気にぶつかって虹ができるのと同様にカメラのレンズでも多少は起きてしまいます。

球面収差

球面収差のイメージ図

球面収差はレンズにぶつかる場所によって曲がり方が違うため、うまく1点に光を集めることができずボケてしまったり、歪みが発生してしまうことです。

絞りを開放することで、レンズに光がぶつかる範囲が広くなってしまうため収差が起きやすくなってしまいます。

もちろんこれらを起こさないようにするために各メーカーレンズの性能を上げたり、収差が起きないように補正用の内部レンズを追加したりしています。

対策

絞りを開放しすぎずに多少絞ることで改善されることが多いです。

単焦点レンズは、明るいレンズが多いですが、ズームレンズと比べてシンプルな構造となっているため、収差が表れにくく絞り値を小さくしてもきれいに写すことができることが多いです。

まとめ

絞りは写真の明るさだけでなく、ボケ具合にも影響があるのでしっかりと理解しておきましょう。

撮影した写真を拡大して使いたい場合には、絞りすぎ/開放しすぎで画質が悪くなることがあるので気を付けましょう。

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