上のような写真を見たことがある方も多いと思いますが、この写真は単純に長時間露出撮影で撮られたものではなく、比較明合成を活用して撮影された写真かもしれません。
比較明合成(コンポジット)と聞いてもどのような撮影方法なのかピンとこない方がほとんどかと思いますが、HDRと同じく通常の撮影では撮れないような神秘的な写真を簡単に作成することができるテクニックです。
比較明合成(コンポジット)とは?
比較明合成は「コンポジット」や「多重露出」とも言われることがあります。
どのようなものなのか早速確認してみましょう!
比較明合成とは?
比較明合成(コンポジット)は、複数の写真の明るい部分を合成して1枚の写真にする手法です。
名前の通り複数の写真の同じ場所(ピクセル)の明るさを比較して明るいほうに置き換えながら合成する合成方法です。
通常の撮影では撮れない、もしくは撮ることが非常に難しい被写体でも1枚の写真に簡単に収めることができます。
HDRとの違い
HDRは、明るさの違う複数の写真を合成して「白とび」と「黒つぶれ」を抑える方法です。コントラストを小さくして目で見た風景に近い写真にすることができます。
HDRに対して比較明合成は明るい場所を合成していくので、明るすぎたり白とびしている写真を複数枚合成していくと写真全体が明るすぎる非常に不自然な仕上がりになり、場合によっては全体が白とびしてしまいます。
なぜ比較明合成を使用するの?
合成は使わずに長時間露出を使って撮るべき!と考える方もいるかもしれません。
確かに合成しないで撮ることができればとても価値のある素晴らしい写真になると思います。
しかし、長時間露出は明るさの調整が非常に難しいだけでなく、カメラの振動や外部の光など様々な要因でせっかくの写真が台無しになってしまうこともある非常に難しい撮影方法です。
星空の光跡を長時間露出で撮ろうとすると1時間以上の長時間露出が必要になってしまいます。そんなときには比較明合成(コンポジット)で失敗を少なく撮影するほうが断然簡単になります。
比較明合成をしてみよう
比較明合成をする方法は合成ソフト(アプリ)を使うかカメラの多重露出機能を使うかの2つがあります。
合成ソフトを使う
合成ソフトを使えば数百枚もの写真を一括で合成することもできるため非常に便利です。
RAW現像と同時に合成することもできるソフトもあるため非常に便利です。基本的には比較明合成は合成ソフトを使うのがオススメです。
Lightroom Classic CC
有料ですがRAWデータの一括現像にも対応しているプロにも愛用されているソフトです。
Adobe Photoshop CC
こちらも有料ですがLightroomと比べて1枚1枚をより詳細に設定、現像することができます。ただし、一括現像には対応していないため大量のデータを取り扱うときにはLightroomがオススメです。
SiriusComp
フリーソフトで基本的な合成機能はすべて備わっているソフトです。タイムラプス動画もつくることができるので比較明合成以外でも楽しめます。
StarStaX
MacやLinuxのOSにも対応している海外製の無料ソフトです。シンプルな機能で直感的に操作できます。
アプリを使う
細かい設定はできませんが、スマホのアプリでも比較明合成をおこなうことができます。
比較明合成がどのようなものなのか確認したり難しいことを考えずに合成したいという方におすすめです。
スマホでの撮影は手持ちが圧倒的に多いと思いますが比較明合成で手ブレや画角が変わってしまうとうまく合成できないので注意しましょう。
簡単!比較明合成!
Shunsuke Osawa無料posted withアプリーチ
カメラの多重露出機能を使う
あらかじめ撮影する枚数を決めておいて、指定枚数撮った後に合成されます。このとき合成に使った写真は残らずに合成後の写真だけが残るので注意しましょう。
合成に使う写真を自由に選べなかったり、撮影を開始してしまうと合成に使う枚数を変更できなくなるため合成ソフトを比べて使い勝手はあまりよくありません。
撮影に必要なアクセサリ
複数枚の写真を合成するときに同じ位置から同じ画角、同じ構図で撮影した写真でないと合成後の写真がぶれてしまったような仕上がりになってしまいます。
レリーズ/リモコン
シャッターボタンを押すときにカメラがぶれてしまいシャッターを押すごとに微妙に撮影位置が変わってしまうことがよくあります。
手ブレを防ぐためにもレリーズもしくはリモコンは必ず使うようにしましょう。また、レリーズを使うことで被写体によってシャッタースピードを自由に変えることもできるようになります。
三脚
足場の悪い場所でもカメラをしっかりと固定する必要があるため三脚も必ず使いましょう。
三脚については以下の記事で選び方をオススメを紹介しています。
比較明合成に使う写真の撮影ポイント
複数枚合成させるときに色味などが変わってしまうと印象が変わってしまう可能性があるため、撮影ポイントをしっかり確認しましょう。
ホワイトバランスの設定を変える
ホワイトバランスをオートにしてしまうと写真ごとに色味が変わってしまい不自然な写真になってしまいます。
RAWデータで撮影することで後からでも画質を下げることなくホワイトバランスを変えることができるので連射をしないような場合にはRAWでの撮影がオススメです。
撮影モードに気を付ける
写真によって明るさが違うとうまく合成できないこともあります。
ピントはマニュアル
暗い場所での撮影ではオートフォーカスが使えないことも多いためピントはマニュアルにして手動で合わせましょう。
マニュアルにすることで撮影時のオートフォーカスによるピント位置のずれを防ぐことができます。
わざとピントを外して丸ボケを強調させた1枚を撮って合成させることでもエフェクト(フィルター)をかけたような素敵な写真にできます。
長時間露出ノイズ低減機能は基本的にOFF
長時間露出ノイズ(ダークノイズ)は合成ソフトで合成時に取り除くこともできるので「長時間露出ノイズ低減機能」はOFFにしておいて大丈夫です。
合成ソフトで取り除くため、合成に使う写真の撮影と同じ条件(シャッタースピードやISO感度)でレンズのふたをして真っ暗な写真を1枚撮る必要があります。ノイズが気になる場合は必ず撮影しておきましょう。
星空の撮影では数十秒~数分で撮影しますが、長時間露出ノイズ低減機能をONにしていると撮影時間が2倍になってしまい合成しても光跡が途切れ途切れになってしまう可能性があります。
合成元になる写真を撮ってみよう
夕焼けや朝焼けなどの明るさが違う合成元になる写真を同じ画角で1枚撮っておくことで日常では見られないような幻想的な写真にすることができます。
比較明合成の作例と撮影ポイント
比較明合成をすると普段は見られない素敵な写真にできる被写体をいくつか紹介していきます。
星空の光跡
星空の光跡は比較明合成を使う代表的な被写体の1つです。
いくつか撮影時のポイントを紹介します。
撮影枚数を増やそう
撮影枚数が増えるので容量などには注意が必要ですが外乱が入ってしまった写真を取り除いてもキレイに仕上がります。
比較明合成だけでなくタイムラプス動画も作成して楽しむことができます。
タイマーレリーズ/インターバル撮影機能を使おう
タイマーレリーズはレリーズで、インターバル撮影機能はカメラ本体で、自動で何枚も写真を撮ってくれる機能です。
機種や設定によっては撮影枚数に上限があったりするので注意しましょう。また、撮影間隔(インターバル)がシャッタースピードより短くならないようにしましょう。
花火
花火も比較明合成を使うと実際に見るよりも豪華な写真にすることができるオススメの被写体です。
合成ソフトを使おう
花火は出る場所や高さ、規模などもバラバラなのでカメラの多重露出ではうまくいきません。
花火は重ねないようにしよう
花火が同じ場所でいくつも重なってしまうと白とびしてしまい花火の鮮やかな色彩や形がしっかり見えなくなってしまいます。
ホタル
比較明合成を使うことでホタルがたくさんいるような幻想的な写真にすることができます。
蚊が多い季節ですが虫よけスプレーなどはなるべく使わないようにしましょう。
シャッタースピードは長めでOK
ホタルが一か所でとどまっていない場合はシャッタースピードが長くても白とびする心配がないので数十秒など長めに設定しても大丈夫です。
夕方に1枚撮っておこう
ホタルの光は非常に弱いので満月や街灯があるような場所ではうまく撮影することができません。
カミナリ
カミナリはどこで落ちるかわからないため長時間露出で複数個を1枚の写真に収めることはほぼ不可能です。しかし、比較明合成を使うことでとんでもない写真に仕上げることができます。
雷の撮影は危険を伴う場合がありますので注意しましょう。
まとめ
比較明合成を使うことで普段は見ることができないステキな比較的簡単につくりだすことができます。
撮影テクニックの基本
コメント